「足腰が弱って薬局まで行けない」「親のお薬が飲めているか心配だけれど、離れて暮らしていて確認できない」——そうしたご相談が年々増えています。薬剤師がご自宅や入居先を訪問してお薬をお届けし、服薬を支援する仕組みがあります。ただし始めるには手順があり、ご自身の判断だけでは開始できません。何が必要で、費用はどうなるのかをご説明します。
ご相談の入口は薬局で構いませんが、訪問を始めるには医師の指示が必要です。対象は在宅で療養されていて通院が困難な方に限られます。費用は医療保険の場合、お一人のお宅への訪問で650点(3割負担の方で1回1,950円程度)に加え、交通費の実費です。要介護認定を受けている方は介護保険が優先されます。
01薬剤師の訪問で何をするのか
お薬をお届けするだけの仕組みではありません。薬剤師が薬学的管理指導計画を立てたうえで訪問し、次のようなことを行います。
- お薬の保管状況の確認。飲み残しがどれだけあるか、直射日光や高温の場所に置かれていないかを実際に見て確認します。
- 飲めているかの確認と支援。飲み忘れが多い場合は、一包化やお薬カレンダーなど、その方に合った方法を一緒に考えます。
- 副作用や体調の変化の確認。ご本人が「歳のせい」と思っておられる症状が、お薬によるものというケースは少なくありません。
- 主治医への報告。訪問の結果は文書で医師にお伝えします。ご家族が間に立って説明する負担が減ります。
離れて暮らすご家族にとっては、専門職の目が定期的に入ることが安心材料になる、というお声をよくいただきます。
02利用できるのはどんな方か
対象は、在宅で療養されていて、通院が困難な方です。制度上、この「通院が困難」は厳格に運用されています。
また、医師や薬剤師の配置が義務づけられた施設に入院・入所されている場合や、すでに他の薬局が訪問している場合も対象外です。判断は主治医が行いますので、まずはご相談ください。
03始めるまでの流れ
「薬局に電話すれば来てくれる」と思われがちですが、そうではありません。医師の指示が出発点になります。
- 薬局または主治医にご相談いただきます。ケアマネジャーや訪問看護の方から話が出ることもあります。窓口はどこからでも構いません。
- 主治医が必要性を判断し、薬局へ指示が出されます。薬局から主治医へ確認の連絡をすることもあります。
- 薬剤師が計画を立てます。お薬の内容、生活のご様子、訪問の頻度などを踏まえて作成します。
- 訪問開始。訪問のたびに結果を記録し、主治医へ文書で報告します。
ご相談だけでも構いません。「利用できるかどうか分からない」という段階で、緑ヶ丘薬局・鷹匠薬局 公園店へお電話いただければ、状況をうかがったうえでご案内します。
04費用の考え方
医療保険をお使いの場合、訪問1回あたりの点数は同じ建物に何人の患者さんがいらっしゃるかで変わります。
| 同じ建物での対象人数 | 1回あたり |
|---|---|
| 1人(戸建てなど、そのお宅にお一人) | 650点 |
| 2人以上9人以下 | 320点 |
| 10人以上 | 290点 |
点数はそのまま窓口でのお支払い額ではありません。1点は10円で計算され、そこにご自身の負担割合が掛かります。650点であれば、3割負担の方で1回1,950円程度、1割負担の方で650円程度が目安です。
このほか、お薬代と交通費の実費をご負担いただきます。麻薬の管理が必要な場合や、小さなお子さまの場合などには加算がつくことがあります。
点数は2026年6月1日適用の調剤報酬点数表によります。実際のご負担は保険の種類・負担割合・お薬の内容により変わります。事前にお見積りをお伝えできますので、遠慮なくお尋ねください。
05回数・距離の決まり
- 回数は原則として月4回までです。末期の悪性腫瘍の方、注射による麻薬の投与が必要な方、中心静脈栄養法を受けている方は、週2回かつ月8回まで認められています。
- 月に2回以上訪問する場合、上記の方を除き週1回が限度です。
- 薬局と患家の距離が16kmを超える場合は対応できません。特殊な事情がある場合を除き、制度上の制限があります。
16kmという距離は、地図上の直線ではなく通常の経路で判断します。当社の薬局は沼津市と静岡市葵区にありますので、ご自宅の場所によっては別の薬局をご案内することがあります。その場合もお近くの薬局探しをお手伝いします。
06介護保険を使っている方の場合
ここが分かりにくいところなのですが、要介護・要支援の認定を受けている方は、医療保険ではなく介護保険が優先されます。名称も「居宅療養管理指導」に変わります。
やっていただく内容は同じですが、費用の計算方法(点数ではなく単位)や自己負担の考え方が異なります。介護保険の区分支給限度基準額とは別枠で扱われるため、他のサービスの利用量を圧迫しない点は共通しています。
ご自身がどちらに当たるかは、認定の有無で決まります。ケアマネジャーがついていらっしゃる場合は、その方にご相談いただくとスムーズです。分からない場合は薬局でも確認しますので、お気軽にお申しつけください。
当社の2店舗は、いずれも在宅患者訪問薬剤管理指導料の届出を行っています。届出内容は施設基準等の掲示のページでご確認いただけます。